床の間―日本住宅の象徴 (岩波新書 黄版 68)



床の間―日本住宅の象徴 (岩波新書 黄版 68)

商品カテゴリ:アート,建築,デザイン
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床の間の成立を焦点とした前近代日本建築史

 1912年生まれの日本建築史研究者(工学部卒業)が、岩波市民講座での講演をもとに、1978年に刊行した本。日本古代の公家の寝殿造(板敷)は、固定的な間仕切が無く、各種行事(公私)のたびごとに各部分の用途が変わるものであったが、次第に内部空間の分化(接客空間の独立など)が進み、やがて近世武家の書院造(畳敷→上段の成立に関連)へと変化する。こうした日本住宅史の大きな変革を背景として、まず南北朝頃に掛軸観賞用の押板(18?19頁)が生まれ、それが庶民住宅の流れを引く草庵風茶室の影響(障壁画の衰退等)を受けつつ、上段と結び付いて江戸初期頃に床の間へと変化し、その機能も芸術観賞用から権威の象徴(上座・主室化)になる。著者は戦後家屋の手狭さと洋風化を視野に入れつつ、家族共同の場である居間兼食事室の意義を重視し、新たな形態の「床の間」の自然な登場を予測している(8章)。著者によれば、「この本に書いたことは必ずしも学界の通説といったものではない。しかしまた、あえて異をたてたものでもない。私は私なりに、できるだけ実証的に論をすすめたつもりである」(200頁)ということである。図が多いことも理解を助ける。
                       



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